W(ダブル)不倫 | 慰謝料請求などで気を付けるべきこととは?

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  • W(ダブル)不倫で気を付ける点は?
  • W(ダブル)不倫の対処法は?

この記事ではこのような疑問、お悩みにお応えします。

不倫には2種類あります。一つは、不倫相手が単身の場合の不倫、もう一つは不倫相手が既婚の場合の不倫です。後者の不倫を、俗に「W(ダブル)不倫」といいます。

W不倫の場合、通常の不倫と同様に対処していると、予想もしなかったトラブルに巻き込まれる可能性があります。そこで、今回は、W不倫の特殊性や注意点、対処法などを詳しく解説していきたいと思います。

W(ダブル)不倫での慰謝料請求の特殊性

W不倫の特殊性は不倫の被害者が二人いることです。一人は当然、あなたです。では、もう一人は誰か?それは、お気づきだと思いますが、不倫相手の配偶者です。不倫相手の配偶者も不倫相手によって不倫され、仮に、不倫されたことに気づけば、あなたの配偶者に不倫慰謝料を支払えと請求してくる可能性があります。

【ケース別】W(ダブル)不倫の対処法

では、前述したW不倫の特殊性を踏まえた上で、W不倫ではどのように対処するのがよいのでしょうか?以下では、あなたを「A」、あなたの配偶者を「B」、不倫相手を「C」、不倫相手の配偶者を「D」とし、AとBが離婚しない場合と離婚する場合に分けてみていきましょう。

離婚しない場合

まず、離婚しない場合は、Bに慰謝料請求しないのが通常です。気持ちの面からみても、経済的な面からみてもメリットがないからです。一方、Cには慰謝料請求することも検討してみてもよいでしょう。

もっとも、Dが不倫に気づいた場合、DがBに慰謝料請求してくることも考えられます(※)。そして、仮に、請求した場合は、「A→Cの慰謝料」VS「D→Bの慰謝料」という構図となり、「D→Bの慰謝料」の金額によっては、実質的にはAが損する可能性があります。

CがDと離婚する意思はなく、Dに不倫がバレることをおそれている場合(Dに不倫のことを打ち明けるおそれがない場合)は、Cに慰謝料請求することは特段問題ないといえます。一方、万が一、CがDに打ち明けてしまうと、前述のとおり、BがDから慰謝料請求される可能性があります。その不安がある場合は、示談書に口外禁止条項を設けるなどして対処おくことが考えられます。

※離婚に際して請求する慰謝料(離婚自体慰謝料)は、特段の事情がない限り、不倫相手に対して請求することができないとするのが判例(最高裁判所平成31年2月19日判決)の考えです。したがって、CとDが離婚する場合は、DはCにのみ慰謝料請求できるのが基本です。

離婚する場合

前述のとおり、離婚する場合に請求する離婚自体慰謝料は、B(配偶者)にのみ請求できるのが基本です。また、通常の慰謝料(離婚原因慰謝料)についてはCにも請求できますが、Bから全額の慰謝料を受け取った場合はCに請求することはできません。

まとめ

W不倫は、あなたのみならず、不倫相手の配偶者も不倫の被害者という特殊性があります。そのため、不倫相手の被害者が不倫に気づいた場合は、あなたの配偶者が不倫相手の配偶者から慰謝料請求される可能性があります。

離婚する際は、配偶者にのみ(離婚自体)慰謝料を請求するのが通常ですが、離婚しない場合は不倫相手にも請求される(する)ことが考えられます。不倫相手の配偶者が不倫に気づいている場合は、お互いに慰謝料請求することで痛み分けか損をする結果となる可能性もあります。その点は、十分に注意しておく必要があります。

この記事を書いた人

小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士(登録番号 佐賀県22410162)
離婚業務を中心に取り扱っている行政書士です。離婚公正証書、離婚協議書、別居合意書、面会交流契約書、示談書、誓約書等の書面を作成したり、チェックしたりしています。ご相談は回数を問わず「無料」です。ご希望の方はお気軽にお申しつけください。