探偵の契約書 | トラブルを回避するためのチェックポイントを解説します

いよいよ探偵に浮気調査を依頼する際に取り交わされるのが契約書です。しかし、その契約書に盛り込むべき項目が欠落していたり、内容に不備があるとのちのちトラブルに発展する可能性があります。

契約後のトラブルを防ぐには、探偵側が法令を遵守することはもちろんですが、依頼者側でも契約書に不備がないかどうか厳しい目でチェックする必要があります。そこで今回は、契約時に探偵と取り交わす契約書のチェックポイントなどについて解説していきたいと思います。

探偵には契約書の交付義務がある

探偵業法の8条2項では、依頼者と契約した探偵に、以下で掲げる事項を明らかにした契約書を交付する義務を定めています。なお、契約書そのものを交付しない、あるいは内容に不備のある契約書を交付した探偵には罰金30万円の刑事罰のほか、営業停止などの行政処分が科されることがあります。

 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 探偵業務を行う契約の締結を担当した者の氏名及び契約年月日
 探偵業務に係る調査の内容、期間及び方法
 探偵業務に係る調査の結果の報告の方法及び期限
 探偵業務の委託に関する定めがあるときは、その内容
 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額並びにその支払の時期及び方法
 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する定めがあるときは、その内容

契約書のチェックポイント

それではここからは、探偵と取り交わす契約書のチェックポイントをみていきましょう。

「成功」の定義

成功報酬型の料金体系で契約する場合は成功の定義が契約書に明記されているかチェックしましょう。

依頼者と探偵との間で成功の定義に関する認識にズレがあると、のちのちトラブルとなる可能性があります。たとえば、依頼者は浮気していることを確かめたくて調査を依頼したところ、調査の結果、浮気の事実が確認できなかったとします。すると、探偵からは浮気していなかったことが確認できたことが「成功」したとして、費用を請求されてしまう可能性があるのです。

こうした依頼者の「成功」と探偵の「成功」の認識のズレを生じさせないためにも、契約書に成功の定義をきちんと盛り込んでもらうことが大切です。

調査員の数、調査時間(期間)

次に、時間料金型の料金体系で契約する場合は調査員の数について契約書に明記されているかチェックしてください。

時間料金型では「基本料金/1h×調査時間×調査員の数+諸経費」で調査費用が計算されます。つまり、調査に導入される調査員の数が多ければ多いほど、調査時間(期間)が長ければ長いほど調査費用が高額となる計算です。

浮気調査は通常2名体制で行われます。1名と固定されている場合は1名で目的を達成することができるのか確認しておきましょう。反対に、「3名以下」などと書かれている場合は、勝手に2名や1名で調査されてしまう可能性がありますし、「2名以上」などと書かれてある場合は勝手に3名や4名で調査されてしまう可能性があります。調査時間や期間についても、探偵側のさじ加減で勝手に調整されてしまう可能性があるので注意しましょう。

契約書に「以下」、「以上」と書かれてある場合は固定の人数、時間を設定できないのか確認しておきましょう。仮に、設定できない場合は、調査員や時間を減らす、あるいは増やす場合に事前に依頼者に了解をとる旨を契約書に盛り込んでもらうとトラブルの防止につながります。

調査内容

次にチェックすべき項目が調査内容です。

探偵と聞くと、警察と同様、他人のプライバシーなどの人権を侵害する行為ができるイメージですが、実はできません。契約書に以下のような違法行為が書かれてある場合は契約書にサインしてはいけません。

  • 対象者の住居まで立ち入って尾行する
  • 対象者の自宅に立ち入って盗聴器を仕掛ける
  • 探偵による対象者の車へのGPS機器の取り付け
  • 電話を盗聴する
  • 郵便物を開封する

仮に、サインすると探偵の違法行為を手助けしたとして、探偵はもちろん依頼者であるあなたまで警察に検挙されてしまう可能性があります。違法行為かどうか見極めが難しい場合はいったん契約書を持ち帰り、弁護士などの専門家にチェックしてもらうとよいです。

調査報告の方法

次に、チェックすべき項目が調査報告の方法です。

いったん探偵に浮気調査を依頼してしまうと、その後は探偵に任せきりにしてしまう人がいますがよくありません。依頼者が調査に無関心だと、調査の手を緩められてしまう可能性もないとは限らないからです。調査の透明性を確保し、探偵に緊張感をもって調査してもらうためにも、依頼後も探偵の調査経過に関心をもち、できる限り定期的に調査報告してもらうことが必要です。

探偵業法は調査「結果」の報告の方法や時期を契約書に明記するよう求めていますが、結果だけではなく「途中経過」に関しても報告してもらうようにし、その方法や時期を契約書に明記してもらいましょう。報告の方法や時期は探偵の裁量に委ねられていますが、少なくとも調査結果の報告に関しては口頭ではなく書面(調査報告書)で行ってもらうことが大切です。

費用の総額、支払い時期、方法

次に、チェックすべき項目は費用の総額、支払い時期・方法です。

理想は契約段階で費用の総額(概算額ではない)を明記してもらうことですが、成功報酬型の料金体系のように調査の結果によって金額が変動する場合や、追加で実費(交通費、郵送費など)を請求するような料金体系である場合は、契約上最大限発生する総額及びその金額の算出の基礎となる個別の金額や計算方法などを契約書に明記してもらう必要があります。

加えて、支払い時期(前払いか後払いか)、支払い方法(口座振り込みか現金の手渡しか)もきちんと確認し、契約書に明記してもらいましょう。

キャンセル料(解約料)

最後に、キャンセル料(解約料)です。

いったん探偵に依頼したものの「やっぱり調査結果を見るのが怖い」、「パートナーが浮気相手と別れたので調査の必要性がなくなった」などの理由から、契約を解除することも想定しておかなければなりません。

もっとも、契約後、探偵は人員の手配やスケジュール調整、調査の計画、機材の手配など本格的な調査に向けて準備をはじめます。つまり、契約後、本格的な調査前からそれなりのコストがかかっており、途中で契約を解除した場合はキャンセル料が発生してしまうのが一般的です。

そのため、どの段階で契約を解除すると、いくらのキャンセル料が発生するのか契約書にきちんと明記されているのか確認することが大切です。少数ですが、ALG探偵社のように、キャンセル料がまったく発生しないと明言している探偵もあります。キャンセル料について不安をもつ方は、キャンセル料が発生しない探偵を選択するのも一つの方法です。

契約時に交わされるその他の書面

契約時に探偵との間で取り交わされる書面は契約書だけではありません。契約書以外にも「重要事項説明書」と「誓約書」が取り交わされます。

重要事項説明書は探偵業法8条1項に掲げられている事項(以下の事項)について記載した書面です。依頼者に交付するとともに内容を説明することが探偵に義務付けられており、違反した探偵には30万円以下の罰金や行政処分が科されることがあります。

 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 第四条第三項の書面に記載されている事項
 探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)その他の法令を遵守するものであること。
 第十条に規定する事項
 提供することができる探偵業務の内容
 探偵業務の委託に関する事項
 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期
 契約の解除に関する事項
 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する事項

誓約書は、依頼者が調査結果を違法な目的のために用いないことを探偵側に誓約するための書面です。探偵業法では探偵が依頼者から誓約書の交付を受けることが求められています(交付を受けなかった場合の罰則は設けられていません)。

誓約書自体は探偵側が準備しますが、探偵から内容について説明を受けてサインを求められます。契約書や重要事項説明書とともに説明や交付を受けたのかしっかりチェックしておきましょう。

 

 

今回の内容は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

小吹 淳

小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士
(登録番号 佐賀県22410162)
国家公務員(約13年)→ 法律事務所(約4年) → 行政書士、夫婦カウンセラー | 離婚や不倫に関して情報発信しています | 離婚公正証書、離婚協議書、示談書、誓約書の作成&チェック等をメイン業務としています | ご相談、ご依頼は「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください