探偵と警察の違い

  • 探偵と警察の違いは?
  • できること、できないことは?

この記事ではこのような疑問、悩みにお応えします。

探偵と警察は何かを調査する機関(人)という点では共通しているため、探偵と警察ではどのような点に違いがあるのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか?そこで、この記事では、探偵と警察の違いや浮気調査は探偵と警察のどちらに依頼すべきなのかについて詳しく解説したいと思います。

探偵と警察との違い

まずは、探偵と警察との違いをみていきましょう。

公的機関か私的機関か

一番の大きな違いは公的機関か私的機関かということです。

警察は、国の警察と地方の警察にわかれ、国の警察は内閣総理大臣を地方の警察は都道府県知事を頂点として組織する公的機関です。公的機関であるため、組織で働く警察官は皆公務員ですし、社会の治安を守ることを使命としています。

一方、探偵は、警察のように組織された公的機関ではありません。意外にも組織よりも個人で探偵業を営んでいる探偵が多いのが実情です。探偵になるには試験を受け合格する必要はなく、警察に届出を出しえすれば探偵業を営むことができます。

調査(捜査)の目的

次に、調査(捜査)の目的が違います。

警察は、窃盗罪や殺人罪、交通事故をはじめとする犯罪を犯した人に対して国家が刑罰権(死刑、懲役、罰金など)を行使できるようにするため、刑事裁判で必要となる証拠を集める捜査機関です。

一方、探偵は、国家の刑罰権行使のために調査する機関ではありません。浮気の慰謝料請求のように、個人が個人に対して私的権利を行使できるように証拠を集めたり、ストーカー、隣人トラブルのように、個人と個人の問題を解決するために調査したり、証拠を集めるのが探偵です。

強制力を行使できるかどうか

次に、強制力を行使できるかどうかです。

警察は、裁判官に令状を請求し取得できれば、人の身体を無理やり拘束したり(逮捕)、人の家に勝手に上がり込んで物を探して発見したら差し押さえたりする(捜索・差押え)ことが可能です。

一方、そもそも探偵には裁判官に対する令状請求権が認められていません。そのため、探偵は逮捕や捜索・差押えなどといった強制力を行使することができません。法律が探偵に認めている権限は尾行、張込み、聞き取りやこれらに類する調査(写真や動画撮影など)だけです。

調査(捜査)に着手するタイミング

次に、調査(捜査)に着手するタイミングが違います。

警察よりも探偵の方が調査に着手するタイミングははやいです。探偵はことが起こる前から調査してくれますが、警察は基本的にはことが起こってからしか捜査してくれません。

もっとも、ストーカーやいじめなどの事案で見られるように、ことが起こってからでは取り返しがつかない事態に発展してしまうことがあります。そこで、可能な限りはやい段階でストーカーやいじめなどの証拠を集め、集めた証拠をもとに警察に捜査を促すという役割を探偵が担うことがあります。

費用がかかるかかからないか

最後に、費用がかかるかかからないかの違いがあります

警察は国、または地方の公的機関で、運営費は税金で賄われているため、警察に相談したり、実際に警察に捜査を始めてもらったからといって費用は発生しません。

一方、探偵は自費で運営しているため、その分の費用を依頼者に負担してもらう必要があります。負担しなければならない費用は、依頼する探偵はもちろん、調査依頼の目的や調査期間、利用する料金体系などによって大きく異なります。

探偵ができること・できないこと

探偵ができることは、人の所在又は行動に関する情報を収集することです。そして、この目的を達成するために、尾行や張込み、現場での動画、写真撮影、聞き込みなどを行うことができます(探偵業法2条)。

一方、探偵は、人の自由や財産、プライバシーなどの人権を脅かすような調査はできませんし、依頼者の代わりに相手と交渉したり、示談書などの法的書面を作る権限も認められていません。

警察ができること・できないこと

前述のとおり、警察ができることは、殺人、強盗、窃盗などの犯罪の捜査です。また、裁判官が発布する令状を取得すれば、人を逮捕したり、人の住居にあがりこんで物を差し押さえたりする権限をもっています。

一方、警察は、警察自身が事件性のある案件だと判断しない限り、なかなか動いてくれません。また、警察は、原則として、不倫の慰謝料請求などの個人と個人とのトラブルには介入しないスタンスをとっています(民事不介入の原則)。

まとめ

探偵と警察の一番の違いは、探偵が私的機関であるのに対して警察が公的機関であることです。この違いから、探偵は慰謝料請求権などの個人の権利を実現するための調査を行う一方で、警察は犯罪捜査により社会の治安を守るという公益目的のために捜査を行うという違いが出てきます。

探偵にも警察にもできること、できないことがあります。探偵に調査を依頼する際は、探偵ができること、できないことをあらかじめ把握した上で、探偵がどこまで調査してくれるのか、やってくれるのかを確認しておくとよいでしょう。

この記事を書いた人

小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士(登録番号 佐賀県22410162)
離婚業務を中心に取り扱っている行政書士です。離婚公正証書、離婚協議書、別居合意書、面会交流契約書、示談書、誓約書等の書面を作成したり、チェックしたりしています。ご相談は回数を問わず「無料」です。ご希望の方はお気軽にお申しつけください。