浮気慰謝料の相場 | 肉体関係なし・不貞関係なしでも請求できる?

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  • 肉体関係なしでも慰謝料請求できる?
  • 不貞の証拠なしでも慰謝料請求できる?

この記事ではこのような疑問、お悩みにお応えします。

配偶者や浮気相手に浮気の慰謝料を払わせるには、配偶者と浮気相手とが肉体関係にあったことを証明できることが必要です。しかし、実際に、浮気調査してみると、肉体関係までには至っていなかった、あるいは、肉体関係はもっているかもしれないものの、そのことを証明する証拠を集めることができなかった、という場合もあるでしょう。

では、こうしたケースの場合、肉体関係がない、肉体関係にあることを証明できないとして、配偶者や浮気相手に浮気の慰謝料を請求することはできないのでしょうか?この記事では、その疑問にお答えしていきます。ぜひ最後までお読みいただき、今後の参考にしていただけると幸いです。

慰謝料請求するには肉体(不貞)関係が必要

まず、冒頭でも触れましたが、配偶者や浮気相手に浮気の慰謝料を払わせるには、配偶者と浮気相手とが肉体関係にあったことが大前提となります。また、話し合いで浮気の慰謝料を払わせるには、配偶者や浮気相手に肉体関係にあったことを認めさせる必要がありますが、そのためには、肉体関係にあったことを証明する証拠を集めておく必要もあるといえます。

肉体関係なしでも浮気の慰謝料を請求できる場合

では、配偶者と浮気相手とが肉体関係をもたなければ浮気の慰謝料を払わせることができないのか、といえばそういうわけでもありません。肉体関係がない場合でも浮気の慰謝料を払わせることができる場合があります。それは、配偶者と浮気相手とが親密な関係にあるとうかがわれる場合です。

そもそも、肉体関係をもつことが慰謝料を払わせるための条件となるのは、配偶者があなた以外の第三者と肉体関係をもつことであなたの婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を害するからと裁判所(最高裁判所平成8年3月26日など)は考えています。

この考え方によると、たとえ肉体関係がなくても、この権利利益を害する事情があり、かつ、それによってあなたが精神的苦痛を被ったといえる場合は慰謝料を払わせることは可能ということになります。

なお、配偶者と浮気相手とが親密な関係にあることをうかがわせる事情としては以下のものがあります。

  • 交際期間が長い
  • 誕生日などにプレゼントを交換する
  • 旅行に行く
  • お互いの自宅を行き来する
  • 結婚の意思を伝えている
  • 婚約指輪を渡している
  • 肉体関係に近い行為(キスなど)を繰り返している

肉体関係なしでも慰謝料の支払いを命じた裁判例

なお、過去には、肉体関係がなくても慰謝料請求を認めた裁判例(東京地方裁判所平成28年9月16日、宇都宮地方裁判所真岡支部令和元年9月18日など)があります。

【東京地裁平成28年9月16日】

Y(浮気相手)とA(配偶者)との交際は、・・・・・1年半近くにわたって継続していた・・・・・上、肉体関係が存在していたとは認められないものの、・・・・・抱き合ったりキスをしていたほかAが服の上からYの体を触ったこともあったのであるから、その態様は、配偶者のある異性との交際として社会通念上許容される限度を逸脱しているといわざるを得ない。Yは、Aに配偶者がいることを認識しつつ・・・・・、Aとの交際を継続していたのであるから、Yの行為は、交際相手の配偶者であるXとの関係において、不法行為を構成するというべきである。

参照:不貞慰謝料請求の実務 | 弁護士中里和伸著

肉体関係なしの場合の浮気慰謝料の相場

肉体関係がある浮気の慰謝料は50万円~300万円が相場ですが、肉体関係がない場合の慰謝料は10万円~100万円が相場と、肉体関係がある場合よりも低くなります。肉体関係がない場合はある場合に比べて違法性の度合いは低く、被害者が被る精神的苦痛の度合いも軽いだろうと考えられてしまうからです。ちなみに、先の東京地裁の認容額は50万円(請求額300万円)、真岡支部の認容額は110万円(請求額637万4000円)です。

もっとも、上記の相場はあくまで裁判で請求が認められた場合に認容される金額の目安にすぎません。話し合いでは、相場にとらわれることなく、常識の範囲内で当事者が自由に金額を設定することができます。あなたが相手に提示した金額が相場を超える金額であっても、相手がその金額に合意さえすれば、その金額がすなわち請求額とすることができます。

肉体関係なしで慰謝料請求する場合に必要な証拠

配偶者や浮気相手に浮気の慰謝料を請求するには浮気の証拠を集めておきましょう。浮気の慰謝料を請求するには、請求する側が配偶者と浮気相手が肉体関係があること、あるいは親密な関係にあることを証明する責任があります。また、証拠を集めておけば話し合いを有利に進めることができ、慰謝料の増額にもつながります。

理想は肉体関係があることを証明しうる証拠を集めることですが、こうした証拠を集めるには尾行や張込みなどが必要となる場合が多く、個人で行うには限界があります。そのため、個人で浮気の証拠を集める場合は、配偶者と浮気相手とが親密な関係にあることを証明しうる証拠を優先的に集めておきましょう。

証拠集めに困った場合は探偵に相談・依頼

もっとも、個人で証拠を集めるのか、探偵に依頼すべきかは慎重に見極める必要があります。個人で証拠を集めるべきではないケースで無理して集めようとすると、配偶者にバレたり、感づかれてしまう可能性があります。そうすると、その後の証拠集めをに難しくしてしまいます。

特に、証拠集めにおいて、尾行、張込み、動画や写真撮影が必要な場合は探偵に依頼すべきです。尾行、張込みには豊富な知識や経験が必要です。個人で行うとバレる可能性が高いですし、尾行で車や自転車を使う際は交通事故を引き起こしてしまう可能性もあります。また、高精度の動画や写真を撮影するには、ある程度値の張る機器を購入し使いこなす必要があります。

その他にも、配偶者の警戒心が強い場合、ご自分で証拠集めする自信がない場合などは、まずは探偵に相談してみましょう。相談、見積もりは無料ですし、相談したからといって無理に契約する必要はありません。相談するだけでも気持ちの整理がつき、今後何をやるべきかがみえてきます。

この記事を書いた人

小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士(登録番号 佐賀県22410162)
離婚業務を中心に取り扱っている行政書士です。離婚公正証書、離婚協議書、別居合意書、面会交流契約書、示談書、誓約書等の書面を作成したり、チェックしたりしています。ご相談は回数を問わず「無料」です。ご希望の方はお気軽にお申しつけください。